TOPHOTASの目 分析・解説記事大学入試小論文
  大学入試小論文
3. 大学入試 小論文 導入の経緯 センター試験
4)大学入試に小論文が導入された経緯2

 大学入試に「小論文」という試験科目が登場した経緯を,さらに見ていきます.

●第2段階 1988年度入試〜
<「共通1次試験」から「センター試験」へ>

 しかし,共通1次試験という壮大な実験は失敗だったのかもしれません.難問・奇問の出題をなくそう,重箱の隅をつついたりするような設問をなくそう,その上で一定の学力を測るものとして導入しようというのが,その意図でしたが,それが完全に実現できたかどうかは難しいところです.それに,5教科7科目というのは,どう考えても受験生の負担が大きすぎました.何度かの制度的変遷をへて,共通1次試験は,1990年から大学入学者選抜大学入試センター試験(以下「センター試験」)に変更されます.もう「共通」も「1次」もありません.事実,センター試験になってから,私立大学の成績利用が可能になりました.現在では多くの私立大学が利用しているのは皆さん,ご承知の通りです.

1988年「分離分割方式」により,後期日程の試験は小論文中心といった傾向が現れた
 この1990年のセンター試験実施のちょっと前,1988年からが第2段階です.
 詳細は省きますが,この年からいわゆる「前期日程・後期日程」「A日程・B日程・C日程」といった「分離分割方式」が始まりました.これがどういう方式だったかについては,もう終わってしまった制度ですし,あまりにも複雑すぎますから,気にしなくて結構です.ポイントは,この分離分割方式により,前期日程(主に2月実施)の試験が従来通りの学科試験,後期日程(主に3月実施)の試験は小論文試験中心といった傾向が現れたことです.これにより,東大をはじめ,今まで小論文の出題のなかった大学も小論文を課すようになり,あわせて,私立大学でも小論文を課す大学が増え,多くの大学で課されるようになったのです.既に1985年からは早稲田大学第一文学部及び第二文学部(ともに当時)で社会の代わりに早稲田らしい独特の小論文が課せられるようになっており(2002年で小論文は廃止,代わりに社会が課せられ,その後,学部組織変更),既に二次試験で多くの学部学科で小論文試験を実施していた上智とあわせ,東大早慶上智という超難関校がすべて小論文を課すようになったわけです.そして,俗に東大型,早稲田型,慶應型と広く一般的にいわれる小論文の三大出題傾向,出題パターンも,この頃ほぼ確立したといえます.

 以後,現在まで早稲田大学は文学部の小論文はなくなりましたが,人間科学部・スポーツ科学部に残っています.東京大学も2008年度試験から後期日程の入試方法が変更されたものの,総合問題IIIはまぎれもなく小論文です.慶應義塾大学にいたっては,文系全学部国語の試験はなく,小論文(名称こそ学部により異なります)が課されています.そのほか,全国の多くの国公立大学はもちろん,私立大学でも小論文が課されるようになりました.
 以上のように,「小論文」というのは,客観問題のアンチテーゼとして出題されるようになったのです.

慶應義塾大学法学部では,2006年度より「FIT入試」という名のAO入試が実施され,その2次選考で,模擬講義をもとにした論述形式試験が実施されています.非常にユニークな試験ですがこれも広い意味で3-5)で分類した「課題文型小論文」と分類できます.

注)紛らわしいので,本稿では下記表記統一します.
 ※1. 高校の「地歴科」「公民科」→「社会」もしくは「社会科」
 ※2. 旧国公立大学,国公立大学法人→「国立大学」もしくは「国公立大学」


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大学入試小論文
1. 大学入学後に必要となる力
1) 大学では何を訓練するのか
2) 「科学」を研究するには何が必要か
3) なぜ大学入試で小論文が課されるのか

2. 大学入試
1) 大学入試 入学試験の性質
2) 大学入試 作問者側から見た入試問題

3. 大学入試 小論文
1) 小論文は他の教科・科目とは根本的に違う
2) 入試科目としての特殊性
3) 大学入試に小論文が導入された経緯1
4) 大学入試に小論文が導入された経緯2
5) 小論文の分類 課題文型と一行問題型


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